疑似収集型緊急ミッション、帝国大戦 第八陣が開催されました。
帝国の偵察部隊により、冥界に到達不可能な領域があることが判明し、ハイドースが進めている儀式の詳細は不明なままなものの、その地点に膨大な魔力が集まっているとの報告があった。
集まっている魔力量から見ると儀式の完成まで、さほど長くはない。
今回の作戦は、その領域への突入及び儀式の阻止だが、突入自体に失敗するかもしれないことと加えて行軍距離の長さという二つの問題点を抱えている。
当該地点は、空間的にも魔力的にも隔離されている、ハイドースが全ての者に対し秘匿し続けていた場所であり、亜神ヘカティエやグリムの協力を以てしても通用しない可能性がある。
そしてその場所は冥界の中でも帝国軍にとって未踏地点にある。
多大な消耗は避けられない行軍であり、帝国全戦力が必要になる作戦だ。
しかし、帝国臣民の命を奪って実行された儀式を完成させるわけにはいかないとして、いざ作戦の詳細を説明しようというその時に、冥界の入り口にて戦闘が行われているとの伝令が入る。
帝国前線基地にて行われる戦闘、相手は冥界軍で間違いないが、それと戦う者達として初代白の皇帝ヴィラヘルムと初代白の帝国騎士団長ヘイズルの名が上がるのだった。
冥界の入り口ではヴィルヘルム、ヘイズルの両名がハイドース配下の庭師スイゼと対峙していた。そこに帝国軍が到着し、冥界より現れるハイドースの軍勢を退ける。
戦闘が終わると既にスイゼの姿は無くなっていた。
そして、魔物に襲われていた、いや魔物を容易く屠っていた二人が本物の初代皇帝と初代白の帝国騎士団長であると確認する。実際は確認と称した、兵への周知のための問答である。
初代皇帝崩御の際に送られたアダマスが作った神器のその写し、初代皇帝の葬送の際にそれらが忽然と姿を消した理由をアダマスは『もちろん使うために持っていった』と言ったという。歴史解釈をすると、初代皇帝はいつか帰ってくる、その時は神器のレプリカをその証拠とするということ。つまりはそれらを持つ者が偽物であるはずがないのだから。
ヴィラヘルムは今は詳細な説明をする時間が惜しいとして急ぎ帝国に戻り決闘を行うと言う。それこそが初代皇帝たヴィラヘルムによる配慮なのだ。
何故それが配慮になるのか、それは世論と帝国法のため。冥界軍との戦いによって疲弊し混乱している民の前に初代皇帝と初代騎士団長が帰還したならば民意は必ず荒れる。
帝国臣民にとって、現白の皇帝の権威は全皇帝陛下によって信任されたという事実が大きく、現在の地位を維持できているのは、異論がある者に対し、いつでも皇帝の首を取りに来いと明言した帝国法あってのもの。
しかし、魔物との戦いと己の政治手腕で、少しずつ、地道に民の信頼を勝ち得てきた
現白の皇帝は、正真正銘の武力だけにとどまらない、実力で国を治めているのだ。
そこに『初代白の皇帝』などという権威の塊が現われたら、反皇帝派のクーデターに加え、疲弊し国を恨んでいる民による反乱、更には国家内不和につけ込む他国の政治的工作を許すことになってしまう。
だからこそ、初代皇帝自らが現帝国法に従って皇帝の実力に異を唱え、それを退けさせることで、民に認めさせるのだと。
そうして、まずは初代騎士団長ヘイズルが現白の皇帝へと決闘を申し込みます。
結果は初代皇帝の勝利。そして本命の初代皇帝ヴィラヘルムとの決闘へ。
そもそも、どうして今更になって初代皇帝と初代騎士団長が姿を現したのか。二人とも別に今の白の帝国に口出しをしようと自らの意思で起きたわけではないのだと。
目覚めた上で白の帝国に干渉することを決めたのは、アダマスとの契約、悪い言い方を
するならば強制によるものとヘイズルは語る。女神アダマスの肉体か魂が失われた時、自動的に二人は新たな肉体を得て帝国の守護を担うという契約。だが、それは今の帝国では駄目だから、昔の皇帝を連れてきてどうにかしようという話であり、諸刃の刃である。
しかし、ヴィラヘルムは今の帝国を信じている、白の皇帝達、今の帝国の民達こそが白の帝国であるという実力を見せて欲しいと言い、高らかに現白の皇帝に異を唱え、帝国法に則り決闘を挑むのだった。
見事、初代白の皇帝を降し、強さを証明し、民の信頼を改めて勝ち得た現白の皇帝。
そうして、二人の狙いがただハイドース討伐への協力というだけではなく、決闘により帝国軍全軍をこの場所に集めることにあったと聞かさる。
アダマスが二人の魂をとどめて、帝国への助力を契約させた理由、それはハイドースによっていつの日か必ず実行される儀式を完全に破壊するため。そのために、二人が借り受けたアダマスの力で、帝国主力全軍を『庭園』導くと言う。
『庭園』とはある種の墓所、封印の地であり、女神アダマスがかつて施した絶対の結界。そこには、この世界に幾度も訪れた危機の一つの元凶となった存在が眠っている。
現状、そこへ入れるのはアダマス本人と、契約者である二人だけだった。
庭園には誰でも入れるが、その下に巡らされた封印の結界だけは、ごく限られた存在しか触れられないものだった。だが、ハイドースは長い時と膨大な魔力、そして死者の魂
を注ぐことで、その封印結界を破ろうとしている。
そして、初代の二人はその結界内へと入る手段を持っている。
結界内の片道切符であり、元々は二人が捨て身で対処するはずだったのだが、今のハイドースは二人の手に余るため、神器の継承者である現皇帝とアンジェリーネの力が必要だとヴィラヘルムは語る。
そこにはもちろん帝国軍の力も必要であるが、生きて帰れる保証は無い。
帝国臣民のために命を捨てられる志願者を募るというが、今の帝国軍には拒否するものの方が少ない。守る故郷、大切な家族がいるのだから。そして初代の二人と共にアダマスの転送魔術によって『庭園』へと向かうのだった。
アダマスの転送魔術により、冥界にある庭園の入り口に辿り着いた帝国軍だったが、そこでは冥界に近い魔力は感じられても、死者の魂の気配があまりにもなさ過ぎた。
そこを最初に造ったのはアダマスであり、冥界の影響は及ばないとのこと。
冥界の寂しさとはまた別の寂しさを感じる一行の前に、死を迎えると黒炎を咲かせる蝶が舞ってくる。そういった危険な生物もさながら、放っておけばいずれ冥界軍もかけつけるということで、突破し目的の場所へと向かう。
だが、庭園の庭師であるスイゼが立ちはだかるのだった。
冥界の入り口にて庭師と語ったこと、それはこの庭園の管理者ということだった。
スイゼはアダマスに強い恨みを抱いているようだが、それについて語るつもりは無いようだ。そして『あの方』が愛した庭園を蹂躙されることを許すはずもなく、帝国軍を迎え撃つ。
スイゼの抵抗も虚しく、帝国軍の圧倒的力の前に膝をつく。
そして皇帝はハイドースの儀式について問い質すが、詳細については知らない返ってくる。代わりにスイゼが語ったのはアダマスの罪について。
アダマスはハイドースの妻を殺した。そして『庭園』に、魂を永劫に封じられたのだと。
嘆き、悲しみ、死に怯え、生命の終わりには後悔だけを抱えて冥界へ至る、そんなあらゆる生命を救おうとし、生の苦しみ、不平等な世界を等しき死の安寧で脱きとめようとしていたのがハイドースとその妻だったと。
しかし、それはあらゆる生命を死へと誘うという、間違いなく世界の危機に値するできごとであった。
正義とは往々にして我儘なものだ。
世界には様々な苦しみを抱える者がおり、その苦しみは死によってのみ救われるというスイゼに、皇帝が知ったことかと一蹴。
生きるということは何かに抗うということ。それでも生きようと願い、抗うことを諦めない者達の命まで奪い去る権利など、誰も持っていない。ハイドースの思惑など、今を生きるあらゆる命にとって知ったことではないのだ。
しかし、皇帝は、悲しみを拭わんとするハイドースの思想と、それを是とする忠臣がいたことは覚えておくと言い、ハイドースの元へと進むのだった。
庭園にて儀式を行うハイドース。もうその眼には自信と妻のことしか見えていない。
本来のハイドースは冥界の神にあって、唯一死者を慈しむだけでなく、いずれ死にゆく生者の苦しみを憂いた、心優しきが故に苦悩する善神であったはずなのに、どうしてこうなってしまったのか。
かつて、ハイドースは定命の苦しみを終わらせるべく、世界全ての命を、生まれる前に冥界へと呑み込まんとし、二度と生命の生まれることのない、新たな苦しみのない世界を作ろうとした。
けれど、それは失敗し、アダマスによりハイドースの肉体は破壊され、魂をも砕かれようとした。その時、ハイドースの妻ペルセフォネは滅びゆくハイドースに魔力の全てを注ぎ、そのためにアダマスに封印されたのだった。
つまり、ハイドースの悲願とは、伴侶であるペルセフォネの復活だったのだ。
愛しき者を、もう一度だけその腕に抱くためならば世界など敵に回しても構わない、大切な者の居ない世界になど価値はない、それは理解できるだろうとハイドースは問う。
それに対して、身勝手な理由で、大切なものを奪われる苦痛を理解できるだろうと答える皇帝。
理解していても止められないことがある。そうして、儀式を完成させようとするハイドースだったが、初代皇帝、初代騎士団長、そして現皇帝により討ち取られんとした。
その時、不完全ながらも儀式が行われ膨大な魔力を持つペルセフォネが復活と思われたが、危機に陥ったハイドースに再び魔力を注ぎ、その場から逃がした。
不完全な儀式と魔力をハイドースに使ったことにより既に身体が崩壊しつつあるペルセフォネだったが、夫ハイドースを逃がすためか帝国軍へと向かってくるのだった。
幸い正気を保っていなかったため、権能を使われることもなくペルセフォネを消滅させた帝国軍。
皇帝は今回の戦いにおいて、皇帝の在り方を理解し、相反するものを全て砕いて、帝国は前へ進むと誓った。
帝国へと戻り、今後について話すが、ハイドースの居場所は一切掴めずであった。
帝国の暗部だけでは限界があるとして、皇帝が頭を下げ、王国へと助力を乞う。王子は当然断るはずもなく。
そうして改めて協力を取り付けた二国。
初代の二人はこのまま帝国に居ては厄介ごとの旗印にされかねないとして王国に身を寄せることになったのだった。
ペルセフォネの復活がもう叶わぬこととなってしまったハイドース。自らが復活させようとしたせいと自身を責めようとするが、それを否定し、全てアダマスのせいとし、より強い恨みを抱く。
そして、この世界を全て無価値とし、全てを焼き尽くすことを決断するのだった。
こうなったらもう儀式とか関係ないので、ハイドースはなりふり構わず全ての民を殺し尽くそうとするでしょうが、今後どうなっていくのか、気になりますね。